夕凪の街桜の国 [漫画コミック]

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夕凪の街桜の国夕凪の街桜の国
こうの 史代 (2004/10)
双葉社 [マンガコミック]
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昭和三十年、灼熱の閃光が放たれてから十年。
ヒロシマを舞台に一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。
戦争とは、原爆とは何だったのか? 渾身の問題作。

昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。

カスタマーレビュー

読者口コミ評価・感想世の中に差し出してくれてありがとう
コンビニでふと手にとって立ち読みを始めたら動けなくなってしまいその場で泣いてしまう前に慌てて本を買って帰りました。物語については、多くは語れません。いつまでもひっそりと自分の胸の中で育んでいたい…そんな気持ちになりました。
でも出来るだけたくさんの人に読んでもらいたい物語です。
こうの史代さんと同じ頃に広島(市外ですが)に生まれた私、「あとがき」に書かれていた思いには共感しきりでした。広島で平和教育を受けつつ、できれば避けて通ろうとしていた事、「うしろめたさのようなもの」(=原爆のこと)をこんなにも切なく哀しく、でもゆるぎなく強くやさしい物語に変えて
世の中に(こんな今の世の中に)差し出してくれるなんて…こうのさんの力量や努力や誠実さに拍手です。そして感謝します。ただちょっと口惜しさもアリ…かも(笑)
同時代の広島人として、私も私なりに「うしろめたさのようなもの」に落とし前をつけないといけないなあ…と、思ったりもしたのでした。
あと蛇足ですが広島弁の女性がこんなにかわいらしく感じられたのは初めてでした。

読者口コミ評価・感想掲載・即・伝説と化した作品が、今蘇る!
2003年夏、双葉社「週刊漫画アクション」の休刊が発表されました。9月30日の休刊号までレームダック状態になりながらも雑誌は出続けました。誰もが「もう終わり」と思っていた9月16日売り号に、ひっそりと「夕凪の街」は掲載されたのです。
休刊に向けた寂しいカウントダウンだけがされていた2ちゃんねる「漫画」掲示板・「週刊アクション」スレッドで突如お祭~~りが発生しました。熱狂的な祭りではなく、作品を読んだこの気持ちを、衝撃を、誰かと語り合いたくてこのスレッドに集まった…という自然発生的な。たった30ページの短編ですが、読後感を誰かと共有せずにはいられない、そんな奇跡のようなマンガだったのです。ネットの祭りはやがて新聞など他メディアにも(ひっそりとですが)飛び火してゆきました。
原爆~~を取り上げた作品というと井伏鱒二「黒い雨」や原民喜「夏の花」、マンガだと中沢啓治「はだしのゲン」、マイナーですが山岸凉子「夏の寓話」とかが思い浮かびます。こうの史代は、これら偉大な先行作とはちょっと違うアプローチで、この重いテーマに挑んでいます。今まで見たこともないイメージ。既成のイデオロギーとは無縁。ともかく手にとってみてくださ~~い。読んでみてください。お願いします。この単行本には書き下ろしを含む後日談も収録されています。おトクです。

読者口コミ評価・感想マンガ界、この十年の最大の収穫
マンガ家にして、ご自身がマンガ通であられる、みなもと太郎氏が「マンガ界、この十年の最大の収穫」と評する作品です。
被爆から10年経った広島から話は始まります。
だから、「ヒロシマ」の話ですが、被爆直後の凄惨な描写は「ありません」。
原爆の悲劇に関心があり、でも正直なところ目をそらしていたいと言う人にとっても「安心して読める」話です。その後の広島の日常生活が、淡々と、しかし作者の丹念な取材と構成によって、一コマ一コマの隅々まで丁寧に描かれています。悲惨なシーンは慎重に控えられています。その後の日常を描き、原爆や戦争を直接語らないことで、恐ろしさや哀しさが伝わってくる。そんな話です。
作者の誠実な人柄のなせる技でしょうが、話は美しかったり哀しかったりで終わっていません。もちろん教訓めいたまとめなどはありません。
作者は、読者の誠実さや良心を信じて、あえて話をまとめてしまわなかったのだと思います。
読み終わった後で、静かな、それでいて居ても立ってもいられなくなるようなせつない感動が残りました。傑作だと思います。

読者口コミ評価・感想皆さん言われているように
まず、ネーミングが素晴らしいですよね。「夕凪」と「桜」。とても素敵な言葉の組み合わせです。読後は、なんだか哀愁のある言葉に見えるのですが・・・。
そして、絵がすばらしいです。表紙の色づかいを見てください。こんなにやさしい絵で、やさしい色を使って、「戦争」という限りなく重いテーマを描いているのです。
この作品は、戦争世代を生きた一人の女性のお話「夕凪の街」と、その子孫である現代を生きる女性のお話「桜の国」の二世代にわたって続く物語です。

この作品のすごいところは、戦争の悲惨さを声高に叫ぶのではなくて、現代の私たちと変わりなく普通に暮らしている人たちが、そのしあわせな日常を、ほんのふとした瞬間に蝕まれてしまう様を、淡々と等身大に描いていることだろうと思います。
そこには、特に「戦争がいけない」という強い主張があるようには思いません。私たちを脅すような、大げさな虚飾があるようにも思いませんでした。
「夕凪の街」では、ふつうの若い女の子が、しあわせに恋をしようとして、原爆のせいでそれができなくなってしまった哀しい現実を、ただありのままに描いています。
フィクションなのに、とても自分の身に迫る気がしたのは、あまりに物語が、自分に身近だったからだと思います。

「桜の国」では、原爆症を持つ母と、その人を愛した父との間に生まれた子の日常が描かれます。原爆がもたらした余波はやはり終わっておらず、現代を生きる人の心も日常も、どこからか蝕んでいるのです。人が人を愛し、大切に思う心を、無残に踏みにじる原爆後遺症…

涙が出ます。物語に暗さはありません。日常に戦争の影が落ちているだけのこと、ただ、それだけのことです。その物語運びは、何より私たちに、戦争が恐ろしいこと、原爆がどれだけ惨いものであるかを気づかせるものだと思います。

読者口コミ評価・感想それから…
私は広島生まれなので、小さなころから、8月になると戦争映画や被爆者の方の講演会・劇団のお芝居等、原爆の恐ろしさを知る教育を、有無をいわさず叩き込まれてきたように思います。
子供ながらにそれが悲惨だ、というのは理解していたのですが、しかし、自分が見た事のない次元での恐ろしさというのは結局小さなトラウマになってしまい、義務教育・高校過程を終えてからは、自らその機会をつくることはありませんでした。
今回、この本を買ったのは、ずばり表紙買い。
淡い感じの彩色、上を見上げ歩く主人公がとても印象的で、思わずレジへと足を進めました。
しかし、内容を見ずに買ってしまった私は購入後パラパラっと見た中身に読む事を放棄。
それから数カ月後ー…
電車広告等でこの本が騒がれているのを知り、再びページを開いてみることに。。。
すると私がこれまで見た映画や演劇・聞いたお話のどれよりも印象に残る『ヒロシマ』の物語に、思わず涙がこぼれました。感動だとか、悲しいだとか、それはどの感情にもあてはまることない涙だと思います。小さい頃、耳を塞ぎ、目を背け、なるべく早く忘れようと家路を急いだ事も、その後原爆という一つの歴史を敬遠して来た事も何て浅はかだったんだ…という深い後悔が生まれました。
是非多くの人に読んでほしい1冊です。戦争を経験した事のない世代には特に。おススメです。

読者口コミ評価・感想男53歳 被爆二世
「夕凪の街」では、原爆の惨禍の中で生き残った被爆者の苦悩や思い、「桜の国」では、自分のルーツや社会的立場を見つめ直す被爆二世を中心に描かれている。被爆二世と言っても健康状態や置かれている立場、考え方等は様々であり、偏見を与えることなく描写することは大変難しいと思われるが、この作品では、多くの被爆二世に共通するであろう悩みや問題が、主人公 七波の様々な思いや心のゆれを中心に的確に描かれている。物語は被爆二世が受ける結婚差別にも触れている。描き方によっては差別の助長につながりかねないが、そこは、被爆二世である凪生の恋人 東子を含め、問題にきちんと向き合い、乗り越えていく主人公達の姿を描くことで、しっかりフォローされている。
東子は両親に凪生との交際を反対されるが、広島の平和資料館を訪れ、被爆者問題への理解を深め、認識を新たにしながら、凪生への愛を貫く決意を固めていく。
21年前(結婚する前)、妻と広島を旅し、平和資料館も訪れた。被爆者、被爆二世の問題を理解し、納得した上で結婚してほしかったから…。この作品を読んでいたら、その時の記憶が鮮やかによみがえってきた。あの時の妻は、きっとこの作品の中の東子そのものだったのだろうと思う。
一般の人にとっても、被爆二世にとっても、被爆者、被爆二世の問題を改めて見つめ直し、向き合っていくきっかけになる、大変すぐれた作品だ。

読者口コミ評価・感想珠玉の一冊
私たちがいつの間にかヒロシマ・ナガサキを語らなくなったのは、原爆そのものの恐ろしさや、非戦・非核を叫ぶ事の大きさが自分たちに負いきれないと、どこか肌で感じていたからではないだろうか。
被爆者の怒りと悲しみを感じているからこそ、迂闊に喋られない、そういった感覚がどこかにあったからではないだろうか。
しかし、この「夕凪の街 桜の国」を読んで、その呪縛からやっと解き放たれた気がした。
「夕凪の街」で、戦争体験のない作者の描くヒロシマは、地獄絵ではなく、あくまで優しく暖かい、復興直後の広島である。しかし、被爆者たちは、まるで夕焼けの中に忍ぶ陰のように、ぽつねんとその優しさから取り残されている。その寂しさ、悲しさ、理不尽さを、作者はどこまでも優しく描く。
そして「桜の国」に存在する人は、被爆という社会の闇と
生きる光の交錯するひとつの現在であり、これからも続くであろう未来である。

この作品で語るべきは、経験のない私たちが背負いきれなくなった、暗く、陰鬱な「戦争」や「原爆」ではない。それは、ほんとうに誰もが語れる、明るく輝く「生きる」という事なのだ。
私たちは、生きるという観点であの戦争を語るという至極真っ当な取り組みを、実に60年経って、やっとできるのかもしれない。この作品は、そう教えてくれる気がする。

読者口コミ評価・感想美しい絵が、一層悲しみを伝える
原爆投下10年後の広島の少女の切ない話と、現代の東京のストーリーを交錯させた漫画。
原爆が広島の少女から奪ったもの、そして、その弟やその子供に与えた影響。
残酷で悲しい現実を、たんたんとした語り口と美しい絵で描く。
私たちの世代は原爆漫画というと「はだしのゲン」だった。素晴らしい名作だが、小学校低学年の私にはショックが大きすぎる漫画だった。
それに対して、この作品は子供向けとは言いがたいが、穏やかに、切なく、美しく、でも悲しい過去を正面からリアルに描いていると思う。
こんなキレイ事では・・・という面もあるとは思うが充分伝わっている。
ちなみに作者は広島出身。なるほど、とは思ったが勿論彼女も戦争を知らない世代。
そういう人が現代の目線でこのような作品を描くという事はとても価値のあることだと思う。


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